【完】ペテン師との甘い夜

真顔だった顔が、口元だけぐにゃりと孤を描く。



なんて鋭利な顔をするんだ。



ひやり、と背中に汗が流れた。



「どっちが、偽物?」



六道の声が夜の外灯が照らす道に広がる。



どっちが国見夕かじゃなくて、どっちが偽物か、なんて。



…聞かれるとは思わなかった。



厄介な男だな。



セキはと言うと余裕の笑顔を絶やさない。



六道はそんなアイツに苛々してるのか、細い眉毛を歪ませ眉間に皴を寄せている。