「えーっと……」

「ロディア・リングデイです」

「ロディア、さん。弟さんは今……」

「ウィルドなら今、ティータイム用のクッキーを焼いています。
もう少ししたら顔を出してくれますよ。それまではボクが分かる範囲でお答えします。
町長と来ていると言う事や、そちらのお嬢さんの発言から察するに、貴方が弟を助けに来たのでしょう?」


おっとりしているように見えて、案外賢いなと失礼な事を考えながらも、

リセは次々とロディアに質問を続けた。

何時からこうなったのか、ウィルドは生まれつき病弱なのか、等。聞き終えた後にリセはポツリと呟いた。


「本当に僕の方向音痴は何とかならないかって、こんなに思う事はないね」

「だから、私が最初から一緒について行けば」

「セレンは黙っていようか」


ウィルドが呪いを発動させたのは、今から五日前。

この時点で既に一年三ヶ月の寿命が縮んでいる。

此処まで経っているのに、発動に気付かなかったのは、発動の際に熱を出したからだと言う。

だから依頼の遅さを責める事は出来ない。