「……無理に笑わなくていい。これからゆっくり、城にいた八年を取り戻していこう。まずはご両親に会い、美味しいものを食べて、眠って体調を整えていこう。さあ、これからリリアーナの時間はたくさんある。楽しいことばかりにしていこう」 触れたリリアーナの華奢で骨ばった手の甲に、グレイは胸が苦しくなった。 (簡単にはいかないけれど、いつかリリアーナが笑えるように俺はもっと頑張る) 見つめ返されたリリアーナの琥珀色の瞳に、グレイはリリアーナが自分の婚約者になった事実を、ゆっくりと噛み締めた。