恋のエンドロールでキスをして【小説版】

「……な、なんで怜が……」

怜が唇に人差し指を当てるのを見ながら、お互いのベランダを隔てている壁のすぐ近くに歩み寄る。

「……こっちの台詞。誰か隣に引っ越してきたなとは思ってたけど、花だったのかよ」

「全然気づかなかった……」

「偶然重なりすぎだろ」

「確かに……」


怜と再会して、同じサークルで映画作ることになっただけでも奇跡だと思ったが、まさか住んでいるアパートの隣人が怜なんて。

「じゃあ、そう言うことで」

怜がベランダに預けていた両腕を離そうとするのを見て、慌てて口を開く。

「待って。私、ほんとに『REI』に入ってもいいの?」

「なんで俺に聞くの?」

「……ずっと怜、不機嫌だったし、強引に入れて欲しいって言ったけど本当は嫌かなって」 

「映画が本当に好きなら俺とか関係ないじゃん」

「え……?」

怜は夜風に黒髪を靡かせながら、私の目を真っ直ぐに見た。


「──花の映画への情熱って本物だろ」

心臓がとくんと鳴って、怜から視線が外せない。

「俺は映画への情熱が面白いくらい、並外れたやつと作りたい」