恋のエンドロールでキスをして【小説版】

そう思って、山芋の天ぷらを食べようとしたときだった。

「それ、ちょうだい」

「え?」

右斜めからお箸が伸びてきて私のお皿の中から山芋が消える。

私の山芋を口の中にポイっと放り込んだのは怜だ。

「あ……っ」

「おい、怜ー。花ちゃんのまで食べるなよな」

「うまかったから」

ぶっきらぼうにそう言う彼と視線は合わない。

怜は首に手のひらを当てわずかに首を捻った。
よく照れたときや、何かをはぐらかす時にしていた仕草だ。

(……もしかして助けてくれたの?)

付き合っているときに、お蕎麦の話になったのだが、その時、私は山芋が食べられないと話したことがあった。

でもそんなたわいのない話を怜が覚えているだろうか。

(……怜の気まぐれ、だよね)


チラッと見れば怜の隣にはいつの間にか柊さんがいて、至近距離で話す彼に眉を顰めている。

(覚えてるのは……全部私だけだよね)

私は誰にも気づかれないように小さなため息を吐くと、唐揚げとだし巻きを胃の中に入れた。