恋のエンドロールでキスをして【小説版】

咄嗟に瞑った目をそっと開けば、小ぶりのフープピアスが見える。

「はぁー……あぶね」

(え……?)

怜の声が頭上から降ってきて、転びそうになった反動で怜をソファーに押し倒したような形になっていることに遅れて気づく。

そして怜が私を守るように、体を抱き抱えていることも。

「……ったく。押し倒すとか、どんだけ気強いんだが」

「ち、違……っ」

言い返そうとして、顔を上げれば怜と至近距離と目があって鼓動がドクンと跳ね上がった。

「あ、の……」

怜に聞こえているんじゃないだろうか。

小さな胸は猛ダッシュでもしたかのように、ドキンドキンと鼓動が鳴り止まない。

「どした?」

「……っ」

おそらく真っ赤な顔をしているであろう私を気にした様子もなく、怜は私の後頭部に大きな手のひらでそっと触れる。

(──!)

その瞬間、不自然に体がビクッと跳ねて、もうどうしたらいいかわからない。

「痛い? どっか打った?」

冷たく突き放されたと思ったら、優しくされてますます思考はまとまらない。恥ずかしいのと、胸の高鳴りで全然声が出てこない。

黙っている私の具合が悪いと思ったのか、怜がぐっと覗き込んだ。

「花?」

変わらない、切長の綺麗な目に自分が小さく映って吸い込まれてしまいそうになる。

「……打って……ない、と思う。痛くないし」

「はぁ……なんだよ。黙るから怪我したのかと思っただろ」

怜は安堵なのか呆れたのか、わからないため息を追加でひとつ吐き出すと、支えていた私の体をそっと押し戻すようにして、両手を離した。