恋のエンドロールでキスをして【小説版】

素っ頓狂な声をあげると、視聴している周りの視線が一緒こちらに向けられて、羞恥心から顔が熱い。

「シーっ、視聴覚室では静かにしろよ」

口元に人差し指を当てたと思えば、怜はすぐに拳を握る。

「じゃーんけん」

「ちょっと……」

「ぽん」

既視感のある一瞬の勝負に、私はまたも無意識にチョキを出したが、怜の大きな手はグーだ。


「あ……」

「俺の勝ち」

怜はDVDを顔の横で振ると唇を持ち上げた。

「ほんと花って全然変わってないのな」

さらりと言われた自分の名前に遅れてハッとする。

「……今、花って……。覚えてたの?」

「んー、今思い出した」

悪びれもせずに一瞬宙を見ながら、とぼけて見せる彼を思い切り睨んだ。

「……最低っ」

「どうとでも。ってことで、これは俺が見るってことで」

「え、ちょっと……」

手をひらひらさせて、歩き出した怜を思わず追いかける。

「待って」

「ついてくんな」

怜は視聴覚室を出ると、人気のない階段を下りていく。

「待ってよ、怜っ」

勿論、怜は聞こえているくせに振り返らない。

長い足で悠々と階段を降りていく背中めがけて、私はほぼ駆け足で階段を下りると、踊り場で怜の腕を捕まえた。

「怜っ」

「離せよ」