恋のエンドロールでキスをして【小説版】

そのDVDのタイトルは『線香花火の夜に』。
サブタイトルは、『〜いつかまた君に会えたら〜』となっていて、どうやらジャンルは青春恋愛のようだ。

(面白そう)

そのまま指先がパッケージに触れようとしてあと一センチ。私の口から「え?」と小さく声が漏れた。

手にしようとしたDVDパッケージの隅に記載されていた監督名に、思い切り見覚えがあったからだ。

「夏宮、怜って……。これ……怜が撮った映画……?」

(じゃあ……やっぱりさっき会ったのは──)

心臓が少しずつ早くなって、指先が少しだけ震える。

ゆっくりと手を伸ばせば、ふいに斜め左から大きな手が伸びてきて目の前からDVDが姿を消す。


「え……っ」

すぐに見上げれば隣には怜と思しきさっきの男が立っていた。

「あの、それ……」

「これ俺のだから」

それだけ言うと、怜はDVDを持ち颯爽と歩き出す。

「ちょっと待ってよ」

声も話し方も変わらない。背が伸びて大人っぽくなっているが、やっぱり怜だ。 

「なに?」

「何って……それ、私が先に借りようとしてたのに」

見慣れない左耳に小ぶりのフープピアスを揺らしながら、怜が馬鹿にしたようにクッと笑う。

「何……、笑って……」

「じゃんけんで勝ったら貸してやるよ」

「え?!」