恋のエンドロールでキスをして【小説版】

※

(一体なんなのよ……)

(知らないなんて、あんまりじゃない?!)

腹を立てながらも別棟にたどり着くと、エレベーターではなく階段で視聴覚コーナーのある四階まで登る。

エレベーターを使いたくなかった理由は簡単で、人目につきたくなかったからだ。

だって今もこうして腹でも立ててでもないと、涙がこぼれ落ちそうだから。


「はぁ……っ、何よ……」

三階の階段の踊り場で、息が切れてきた私は壁に手をつくと体を預けた。

「……怜の馬鹿」

もう五年も前のことで、付き合ったのも四ヶ月足らず。

それでも、自分のことを忘れてしまうほどに彼にとって、あの時間が些細でどうでもいいことだったと知れば、悲しくて仕方ない。

「もっと馬鹿なのは私、か……」

怜が忘れられなくて、ずっと彼が好きだった。彼から忘れられていたと知っても、現在進行形で好きな気持ちは変わらない。

好きな気持ちだけはどうして簡単に消去できないんだろう。

それにずっと願い続けていれば、同じ夢を追いかけていれば、いつかどこかで映画みたいに再会できることを期待してた。

また同じ夢を一緒に追いかけられる気がしてた。

「ぐす……、ずっと会いたかったのに……」