おしゃれハッカー

「ソレハ、本ガ売レナイト困ルカラダ」
「はぁ? モノスバルが出来たから本が売れないって意味?」
「書店潰レル、ソレ、困ル」
「そんなもん……知るかっ! だからってハッキングしていいわけないでしょうが、あんた誰なのよっ」

 二人の会話はよく聞き取れない。特にロボットの音声は人間の声とちがって音の高さが一定でなにを言っているのかわからない。
「どうやら本屋が潰れると困るとか、そんなことを言っているみたいだよ。犯行は河合井小学校の周辺だったよね。愛花ちゃん、何か犯人に心当たりはあるかい?」

 図書室で見た台車のロボット、本を大事にする人、河合井小学校周辺での事件……。

「追い詰めたよ、行き止まりだ!」
 気が付けば坂道をぐんぐんとのぼって屋上まで来ていた。人が使う階段とは別にロボット用の坂道の通路があるんだね。時代劇のお侍さんが刀をつきつけるみたいに、優海さんはギターをロボットの方へむけた。
「自白すれば、少しは罪が軽くなるよ」
「優海さん、そんな必要はないわ! あたしにはわかったわよ! あんた河合井小学校の司書でしょ! あの人は図書館情報学を学んでいた、学校と同じ台車のロボットの犯行、河合井小学校の周辺で起こった事件。これらを推理すると、犯人は絞られるわ!」
 風香ちゃんの推理、もっともらしいけれど、多分違う。
「違ウ……」
「あたしたちがその気になれば、どこからウィルスが送られているかわかるんだからねっ! これだけの事件を起こしたら刑務所行きかもしれないんだよっ!」
「違ウ……」
「待ってください! わたしにはこの事件の真相がわかりました! あなたは本が大好きです! 本屋を守るために事件を起こしてしまうほどに! そう考えると雪村先生は犯人ではありません。雪村先生が犯人ならば本屋を守る必要はそれほどありませんし、本が傷つくことも嫌がるはずです。それに、何より本のデータが書き換わっていることに気が付きませんでした。そんなささいなアリバイ作りのために大人がわざわざ小学生の図書委員を利用するでしょうか……論理的に考えて、ありえません」
「マナちゃんの『論理的に考えて』が出たらに!」
「この事件の犯人は壮大な計画を練っていたんです! 本のお城を作るような!」