おしゃれハッカー

「えー、皆さま、取材の件でお集まりいただき、誠にありがとうございます。弊社としましては一日も早いシステムの復旧を目指しております。つきましては、工場を案内しながら、皆さまに弊社の取り組みを記事にしていただければと思っております」
 灰色の作業着を着たモノスバルの社員が大勢の記者を工場の中へと案内する。
「すいませーん、トイレってありますか?」
 風香ちゃんが手をあげて、さけぶ。モノスバルの社員のおじさんは、これだから子供は仕方がないな、という半ばあきれた顔をした。
「ええ、お待たせしてしまいましたからね。皆さまも用のある方は工場1階のあちらの通路にトイレがありますので」
 なんて言いながら階段の下にある通路を指さす。
「迷子にならないように注意してくださいね。迷子になった時は1階にスタッフがいますから、なんでも聞いてくださいね、さ、いきましょうか」
 記者さんたちもこの言葉には失笑している。

「気にしないで。さぁ、いきましょう!」
 風香ちゃんに引っ張られて女子トイレに駆け込んだ。ドアを閉めるなり、ひきつった笑顔の風香ちゃんは声を荒げた。
「あのおやじぃ!」
「まあまあ、風香ちゃん、落ち着きなよ。ファインプレイさ。これで僕らは工場の中を偵察できるんだから」
「はぁ、ごめん。なんかイライラしてた」
 いつもの風香ちゃんらしくない。
「だいじょうぶ?」
 わたしは風香ちゃんの背中をさすった。
「うん、もう平気。ふたりに心配をかけてごめんね」
「風香ちゃん、気にしないで。具合が悪い時は言ってね! それじゃあ、変身するよ!!」
 わたしがかけ声をかけるとみんながわたしの右手に手を重ねる。
「「「ロジカルマジカルおしゃれにな~れ!!!」」」