おしゃれハッカー

「風香ちゃん、こんなことをする可能性の高い犯人は誰だと思う?」
 わたしの問いかけに、なにやらタブレットで調べ事をしている風香ちゃんが答える。
「昔っから都合の悪い本を燃やしたりするなんてことは歴史上よくあったことのよっ。ただ、手当たり次第に本のデータがいじられているってことは……政治的なものではなくて愉快犯か、図書館に恨みを持つ人間の犯行の可能性かな」
「図書館に恨みを持つ? そんな人いるの?」
「さぁ、どういうことなのかしらねっ。あたしがネットで調査してみたところ、被害はこの周辺だけみたいねっ。でも放っておいたら大事件にもつながりかねないし、編集部で本格的に調査してみるつもりよっ」
「編集部なんてあるんだ……風香ちゃん、小学生なのにすごいね」
「うーん、むしろ小学生だから上手くいったのかな。あたしみたいに小中学生向けSNSを作ろうとしていた人は過去にもたくさんいたみたいなんだよっ。あたしが成功したのは大人に気に入られたから。あとは二橋小(ふたつばししょう)のブランド力、この二つが大きかったと思うよっ。海外の有名なSNSも元はハーバード大学なんかのエリートが学生時代に始めたものだったりするからね。ま、今くらい大きくなっちゃえばそういうしがらみもあまり関係ないんだけれどさ。よかったらおいでよっ。ほとんどの事業は大人にゆずったんだけれど、JSN編集部はちゃんとあたしの会社なんだからっ。法律で仕方なくお母さんの名義になっているけれどね」
 ぐるぐるといろんな言葉が頭をかけめぐる。頭を使いすぎて熱を出しそう。風香ちゃんは難しい大人の言葉をいっぱい知っている。あとで辞書で調べてみようかな。
 それにしても、風香ちゃんの会社に招待してもらえるなんて嬉しい! やっぱりきれいで大きなビルなのかな!