図書室の貸し出しカードには名前とクラスが書く欄があって、返却するとそこにスタンプが押される昔ながらの仕組みなのだ。
「じゃあ、つまり、先生の勘違いってことなのかな?」
「その可能性が高いわねっ! でも、スクープの臭いがする! きっと何かあるわ~!」
わたしと風香ちゃんが並んで歩いていると、突然に大きな手がわたしの肩をつかんだ。驚いたわたしが思わず振り返ると、結城くんが手の甲で口を隠し、頬を染めている。
「え、どうしたの?」
「俺のこと変じゃねぇか? ダサくないか?」
え? 何言っているんだろう。
「イマドキ誰が少女漫画を読もうが、少女アニメを観ようがバカになんてしないわよ。いつの時代の話をしているのよっ」
風香ちゃんが言ってくれたからようやく理解できた。なるほど、そういうことか。結城くんって、昔っから変なところでプライドが高いもんね。男の子が少女漫画を描いていることが恥ずかしかったのかな。
「わたしも気にしないよ。他人に言われてやめちゃうよりも、好きなことに一生懸命な人はカッコイイと思う。漫画を描こうなんて簡単にはできないことなんだしさ。それに女の子が女の子を好きになることだってあるし……いや、例えば、なんだけれど……」
わたしの言葉に風香ちゃんが頷く。
「そ、そうか……そこまで言われたら隠す必要なねぇな。実は俺、今月号のちゃうちゃうで佳作に入ったんだぜ!」
あの漫画を結城くんが書いたのか。思ったよりも世間は狭いね。
「あ、あんたが佳作っ!?」
あれ、もしかして風香ちゃん怒ってる?
「師匠っ! 弟子にしてくださいっ!!」
「え、なんなのこいつ……」
風香ちゃんの90度のお辞儀を見て、結城くんはたじろいでいる。
「あ、あたしは本日転校してきた群上風香といいますっ! 結城先生っ! アシスタントに、いや、無理だったらJSNに漫画連載してみませんかっ!? 新進気鋭の作家による漫画講座……これは良いアイデアかもっ!!」
風香ちゃんにつめよられた結城くんが返事に困っていると、走ってはいけない廊下を雪村先生が猛スピードでこちらに向かって走って……いや、歩いてきた。
「これでも学生時代は競歩で優勝したことがあるんだからね!」
「いや、聞いてないです……あの、それより、何か事件が起こったのですか? そうですよねっ! 猛烈にスクープの臭いがしますっ!」
風香ちゃんって編集のお仕事をしているせいか古い言葉をたくさん知っているよね。
「何があったのですか?」
「それがね、あっちこっちの学校や図書館のデータがおかしくなっているみたいなの。本の内容が変わっていたり、電子情報そのものがなくなったりしているらしいのよ。わたしも大学で図書館情報学っていうのは勉強したんだけれど、かなり専門的な知識が必要みたいでさ、どうにもできそうにないから教頭先生に報告しようと思っていたのよ。紙の本は無事みたいだけれど……」
そうか、返したはずの本を返却されていないって雪村先生が言っていたのはデータがいじられていたからなんだ。きっと結城くんが本を返した記録が消されてしまったのだろう。
「これって、悪い人がデータを盗んでいるってことですよね」
「まだ詳しいことはわからないけれど、そうかもしれないわね……便利にはなったけれど、物騒な時代よね」
雪村先生が言うことと同じことをわたしも感じていた。
なんで本のデータを盗んだりするんだろう。困らせて何が楽しいのかわたしにはよくわからない。 でもさ、この事件だっておしゃれハッカーなら解決できるかもしれないよね。
「これはっ! もしかして伝説のハッカーが再び登場する可能性があるよっ! 一体だれなんだろうっ!」
はしゃいでる風香ちゃんをしり目に、わたしは委員会の仕事のために図書室へと向かう。一人だけサボっているわけにもいかない。風香ちゃんも調べたいことがあるのかずっとわたしについてくる。もしかして、わたしの秘密を知っているのかな? 別に知られてもいいんだけれどさ、目立ちたくないんだよね。
「じゃあ、つまり、先生の勘違いってことなのかな?」
「その可能性が高いわねっ! でも、スクープの臭いがする! きっと何かあるわ~!」
わたしと風香ちゃんが並んで歩いていると、突然に大きな手がわたしの肩をつかんだ。驚いたわたしが思わず振り返ると、結城くんが手の甲で口を隠し、頬を染めている。
「え、どうしたの?」
「俺のこと変じゃねぇか? ダサくないか?」
え? 何言っているんだろう。
「イマドキ誰が少女漫画を読もうが、少女アニメを観ようがバカになんてしないわよ。いつの時代の話をしているのよっ」
風香ちゃんが言ってくれたからようやく理解できた。なるほど、そういうことか。結城くんって、昔っから変なところでプライドが高いもんね。男の子が少女漫画を描いていることが恥ずかしかったのかな。
「わたしも気にしないよ。他人に言われてやめちゃうよりも、好きなことに一生懸命な人はカッコイイと思う。漫画を描こうなんて簡単にはできないことなんだしさ。それに女の子が女の子を好きになることだってあるし……いや、例えば、なんだけれど……」
わたしの言葉に風香ちゃんが頷く。
「そ、そうか……そこまで言われたら隠す必要なねぇな。実は俺、今月号のちゃうちゃうで佳作に入ったんだぜ!」
あの漫画を結城くんが書いたのか。思ったよりも世間は狭いね。
「あ、あんたが佳作っ!?」
あれ、もしかして風香ちゃん怒ってる?
「師匠っ! 弟子にしてくださいっ!!」
「え、なんなのこいつ……」
風香ちゃんの90度のお辞儀を見て、結城くんはたじろいでいる。
「あ、あたしは本日転校してきた群上風香といいますっ! 結城先生っ! アシスタントに、いや、無理だったらJSNに漫画連載してみませんかっ!? 新進気鋭の作家による漫画講座……これは良いアイデアかもっ!!」
風香ちゃんにつめよられた結城くんが返事に困っていると、走ってはいけない廊下を雪村先生が猛スピードでこちらに向かって走って……いや、歩いてきた。
「これでも学生時代は競歩で優勝したことがあるんだからね!」
「いや、聞いてないです……あの、それより、何か事件が起こったのですか? そうですよねっ! 猛烈にスクープの臭いがしますっ!」
風香ちゃんって編集のお仕事をしているせいか古い言葉をたくさん知っているよね。
「何があったのですか?」
「それがね、あっちこっちの学校や図書館のデータがおかしくなっているみたいなの。本の内容が変わっていたり、電子情報そのものがなくなったりしているらしいのよ。わたしも大学で図書館情報学っていうのは勉強したんだけれど、かなり専門的な知識が必要みたいでさ、どうにもできそうにないから教頭先生に報告しようと思っていたのよ。紙の本は無事みたいだけれど……」
そうか、返したはずの本を返却されていないって雪村先生が言っていたのはデータがいじられていたからなんだ。きっと結城くんが本を返した記録が消されてしまったのだろう。
「これって、悪い人がデータを盗んでいるってことですよね」
「まだ詳しいことはわからないけれど、そうかもしれないわね……便利にはなったけれど、物騒な時代よね」
雪村先生が言うことと同じことをわたしも感じていた。
なんで本のデータを盗んだりするんだろう。困らせて何が楽しいのかわたしにはよくわからない。 でもさ、この事件だっておしゃれハッカーなら解決できるかもしれないよね。
「これはっ! もしかして伝説のハッカーが再び登場する可能性があるよっ! 一体だれなんだろうっ!」
はしゃいでる風香ちゃんをしり目に、わたしは委員会の仕事のために図書室へと向かう。一人だけサボっているわけにもいかない。風香ちゃんも調べたいことがあるのかずっとわたしについてくる。もしかして、わたしの秘密を知っているのかな? 別に知られてもいいんだけれどさ、目立ちたくないんだよね。


