「ええ、あたしはママから、若いうちに興味のあることはなんでも挑戦しなさいって教わってきたの。ねぇ、よかったら読んで感想を聞かせてくれないかなっ」
「このスケッチブックに漫画を描いているんですか?」
「ええ、ペンタブレットで描く人が増えているけれど、やっぱり基礎をしっかり勉強しようと思っていてね」
きちんと絵の勉強をしている風香ちゃんに好感を持った。わたしなんて憧れているだけで努力をしていないから。
「うわぁ、うまいですね! トーンもつかっていないのに、線だけで表現できてる。キャラも可愛いし、コマ割りも読みやすい」
そこに描かれていたのは丁寧な線で描かれた美少女であった。絵は上手い。とても同じ小学生が描いたものだとは思えない。大人が描いたといってもわからないだろう。ただ、なんというか、お話しは……意味不明……何を伝えたいのかもよくわからない。
「どうかしら?」
「あ、その、絵がとっても上手だね!」
「聞き飽きたセリフねっ……ま、いいわ。これをちゃうちゃうに投稿したんだけどねっ……」
「え! すごいじゃないですか!!」
実はわたしもちゃうちゃうという少女漫画雑誌が好きで、漫画大賞に投稿してみたいとひそかに思っていた……けれど、当然一度も投稿をしたことがない。
「これ見てよっ! この絵! どう見てもあたしのほうが上手い! あたしのどこが悪いのかしらっ!?」
そういって、風香ちゃんはタブレットを指で操作して、ちゃうちゃうの公式サイトにアクセスした。今月の新人グランプリという画像が映っている。
「うーん、この人の実力だと思いますよ。面白いですから。SNSのホラーっていうのかな、ネットにハマって現実をないがしろにしているカワイイ女の子転落していく、これ、続きが読みたくなります」
受賞した漫画はストーリーに読ませる魅力があった。それは風香ちゃんの漫画にはないものだ。
「話の方がつまらないってこと?」
わたしはしばらく考えた。何がいけなかったんだろうって。これは探偵が犯人を捜すのと同じことだ。
「いや、そんなことはないです。論理的に考えて、風香ちゃんの漫画は大きく分けて三つのお話しでできています。一つ目は少年と少女が出会う。二つ目は二人が恋をして結ばれる。三つ目は恋のライバルが現れて決闘する。ここでお話しが終わっています。これを並びかえてみたらどうでしょうか。出会い、決闘し、結ばれるという風に」
自分が感じたことを素直に伝えた。嫌われちゃったら悲しいけれど、本気で描いている風香ちゃんに伝えたいと思ったから。
「……なるほど。だけど、つまらないわっ!」
「えええっ!? そうでしょうか……」
もしかして、風香ちゃん怒ったかな。ゆっくりと視線をあげて風香ちゃんの表情をうかがうと……そこには笑顔があった。
「参考になったわ。正直に話してくれて嬉しい。だけど、自分の感覚を大切にしたいのよっ」
そうだよね、確かに売れる漫画のパターンみたいなものはあるのかもしれないけれど、風香ちゃんが描きたいのはそういうものじゃないのかもしれない。やっぱり漫画ってすごく難しいね。
「このスケッチブックに漫画を描いているんですか?」
「ええ、ペンタブレットで描く人が増えているけれど、やっぱり基礎をしっかり勉強しようと思っていてね」
きちんと絵の勉強をしている風香ちゃんに好感を持った。わたしなんて憧れているだけで努力をしていないから。
「うわぁ、うまいですね! トーンもつかっていないのに、線だけで表現できてる。キャラも可愛いし、コマ割りも読みやすい」
そこに描かれていたのは丁寧な線で描かれた美少女であった。絵は上手い。とても同じ小学生が描いたものだとは思えない。大人が描いたといってもわからないだろう。ただ、なんというか、お話しは……意味不明……何を伝えたいのかもよくわからない。
「どうかしら?」
「あ、その、絵がとっても上手だね!」
「聞き飽きたセリフねっ……ま、いいわ。これをちゃうちゃうに投稿したんだけどねっ……」
「え! すごいじゃないですか!!」
実はわたしもちゃうちゃうという少女漫画雑誌が好きで、漫画大賞に投稿してみたいとひそかに思っていた……けれど、当然一度も投稿をしたことがない。
「これ見てよっ! この絵! どう見てもあたしのほうが上手い! あたしのどこが悪いのかしらっ!?」
そういって、風香ちゃんはタブレットを指で操作して、ちゃうちゃうの公式サイトにアクセスした。今月の新人グランプリという画像が映っている。
「うーん、この人の実力だと思いますよ。面白いですから。SNSのホラーっていうのかな、ネットにハマって現実をないがしろにしているカワイイ女の子転落していく、これ、続きが読みたくなります」
受賞した漫画はストーリーに読ませる魅力があった。それは風香ちゃんの漫画にはないものだ。
「話の方がつまらないってこと?」
わたしはしばらく考えた。何がいけなかったんだろうって。これは探偵が犯人を捜すのと同じことだ。
「いや、そんなことはないです。論理的に考えて、風香ちゃんの漫画は大きく分けて三つのお話しでできています。一つ目は少年と少女が出会う。二つ目は二人が恋をして結ばれる。三つ目は恋のライバルが現れて決闘する。ここでお話しが終わっています。これを並びかえてみたらどうでしょうか。出会い、決闘し、結ばれるという風に」
自分が感じたことを素直に伝えた。嫌われちゃったら悲しいけれど、本気で描いている風香ちゃんに伝えたいと思ったから。
「……なるほど。だけど、つまらないわっ!」
「えええっ!? そうでしょうか……」
もしかして、風香ちゃん怒ったかな。ゆっくりと視線をあげて風香ちゃんの表情をうかがうと……そこには笑顔があった。
「参考になったわ。正直に話してくれて嬉しい。だけど、自分の感覚を大切にしたいのよっ」
そうだよね、確かに売れる漫画のパターンみたいなものはあるのかもしれないけれど、風香ちゃんが描きたいのはそういうものじゃないのかもしれない。やっぱり漫画ってすごく難しいね。


