おしゃれハッカー

「前に通っていた二橋大附属(ふたつばしだいふぞく)小学校にいた時に作ったんだけど、先生も面白がってくれてね、いろいろな人との協力があってできたのよっ、あたしひとりの力じゃないわっ」
 その日の主役は間違いなく風香ちゃんだった。授業で問題を出されれば当たり前のように正解するし、運動神経も抜群。休み時間には風香ちゃんの机の周りに人だかりができていた。
 ちょっと変わったキャラだけどみんなから好かれるのはすごいなって思うよ。だって、わたしにはない明るさがあるんだもの。勉強や運動が得意なことよりも、その真夏の太陽みたいな明るさがまぶしくて魅力的。

「あなた……何をしているの?」
 顔を上げると風香ちゃんがツインテールの髪をいじりながらわたしに質問をしていた。
「えっとね、放課後に図書委員会でみんなに読書を楽しんでもらおうってイベントがあって……その準備をしていたの」
 ふーん、と興味なさそうに風香ちゃんは返事をすると、わたしの作ったプリントを手に取った。
「今まで国立の小学校に通っていたから新しいものばっかりに触れてきたけれど、こういう図書館もいいじゃない。昭和レトロっていうのかしらっ」
 図書館じゃなくて、図書室なんだけどな……。昭和もレトロもよくわからないけれど、古いっていうことは伝わった。
「いいよ。2階だからついてきて」
 風香ちゃんは取り巻くクラスメイトにウィンクをすると円形のお掃除ロボットの邪魔をしないように図書室へと向った。
「ねぇ、あなた、伝説の魔法少女を知ってるっ?」
「ふぇっ? アニメの話かな?」
「いいえ、現実の物語よ。二十年前に世界を救った伝説の美少女ハッカー! あまりの手際の良さからマジカルガール、つまり魔法少女と呼ばれていたのよ。あたしはその正体を暴くためにこの学校に来たのっ!」
「……」
 思わずわたしは立ち止まってしまった。JSNに映っていたわたしと優海さん、それを見て転校してきた風香ちゃん。論理的に考えて、彼女はおしゃれハッカーのことも知っている可能性は高い。今は慎重に行動をしていた方が良いのかもしれない。