あなただってわたしとそんなに歳は違わないのに。
「行くに決まっているじゃない。ナゾを解き明かすんだから」
「やる気はあるみたいだね。そうそう、ネコのロボットのウィルスが何かわかったんだ」
お姉さんは当たり前のように言っているけれど、わたしにはどうやってコンピューターウィルスの原因を突き止めたのか想像もつかない。
「逆探知をしたんだよ。今じゃそこいらじゅうに通信設備があるだろう。例えるなら……ゲームかな。どこにいても世界中の人とオンラインでつながれる。その対戦相手を調べるようなものさ」
「すごいね」
すごいとしか言いようがない。どうやってそんなことをするのだろう。
「でも、犯人は見つからなかった」
「なんでなの?」
「わかりやすく言うと、あのウィルスは海外から送られてきたもので、日本の警察には捜査をする権限がないんだよ。外国から輸入した部品の中にウィルスが仕込まれていることもある。ICPOっていう世界の警察も事件解決に動いているんだけれど、どこの国も協力的じゃないんだ。自分の国のハッカーたちの秘密をもらしたくないんだろうね」
「そんな、じゃあ、やられっぱなしじゃない!」
「解決には世界のみんなが協力しないと難しいだろうね。どう、きみがどんな敵を相手にしているか少しはわかってきただろ。そんなスパイやテロリストみたいな連中と戦うんだからね。この国は一見とても平和に見えるけれど世界中からサイバー攻撃を受けているんだ。僕たちのお金や知的財産、個人情報、そういうものがスパイなんかにどんどん奪われているようなものなんだからね」
スパイにテロリスト!! なんてわくわくするキーワードだろう!!!
それに、悪い人たちがニャーちゃんを狂暴にさせたようなサイバー攻撃をしているなら、おしゃれハッカーが退治しないといけないわよね!
「うん……これは楽しみ! 世界をまたにかけたナゾを解くなんてわくわくするじゃない!」
「ものすごくポジティブなんだね。怖くはないのかい?」
怖いか……なんだかよくわからない。でも今は怖いより楽しいって気持ちが強いかな。
「ところで、こんな夜中に出かけている不良娘の名前が知りたいな」
「まさか、逮捕するつもり!? あ、あなたが来いっていったんじゃない!」
「あははっ、違うよ。きみの名前を知らないと不便だろ。それとも内緒なのかい?」
なんだかからかわれている気がするな。
「四色愛花よ。四つの色に愛の花って書くの」
「四色愛花ちゃんか、可愛らしい名前だね。僕の名前は千里優海(せんりうみ)」
「優海(うみ)さんって呼んだらいいのかしら?」
「呼びやすいように呼んでくれればいいよ」
パトカーのサイレンが遠くから波のように聞こえてくると、にこにことして親しみやすい笑みを浮かべていた中学生らしい優海さんの表情が一変する。急に凛として大人びた表情になった。
「予定より早く動いたようだな」
小学生のわたしにも事件が起こったんだって、ピリピリとした雰囲気で伝わってきた。きっと銀行強盗だよね。わたしに捕まえられるのかしら……。
「ちょっと! その指輪を取り返してくれ!」
羽のついた小さな飛行ロボットは、わたしと優海さんの間を素早く通り過ぎていく。すぐにあっという間に見えなくなって夜の繁華街へと消えた。スーツ姿の男性は息もたえだえに追いかけていたんだけれど、スーツのズボンが汚れることも気にせずに、力なくがっくりとその場にひざをついたわ。なんだかかわいそう。
「警察です。どうしたのですか?」
へぇ、優海さんってちゃんとお仕事してるんだ。でも子供がこんな時間に働いているのってどうなんだろう。そもそも、警察から頼られるほどのコンピューターの知識を持った中学生なんて映画の中でくらいしかみたことがないわよね。優海さんって、もしかしてすごい人なのかも。
「行くに決まっているじゃない。ナゾを解き明かすんだから」
「やる気はあるみたいだね。そうそう、ネコのロボットのウィルスが何かわかったんだ」
お姉さんは当たり前のように言っているけれど、わたしにはどうやってコンピューターウィルスの原因を突き止めたのか想像もつかない。
「逆探知をしたんだよ。今じゃそこいらじゅうに通信設備があるだろう。例えるなら……ゲームかな。どこにいても世界中の人とオンラインでつながれる。その対戦相手を調べるようなものさ」
「すごいね」
すごいとしか言いようがない。どうやってそんなことをするのだろう。
「でも、犯人は見つからなかった」
「なんでなの?」
「わかりやすく言うと、あのウィルスは海外から送られてきたもので、日本の警察には捜査をする権限がないんだよ。外国から輸入した部品の中にウィルスが仕込まれていることもある。ICPOっていう世界の警察も事件解決に動いているんだけれど、どこの国も協力的じゃないんだ。自分の国のハッカーたちの秘密をもらしたくないんだろうね」
「そんな、じゃあ、やられっぱなしじゃない!」
「解決には世界のみんなが協力しないと難しいだろうね。どう、きみがどんな敵を相手にしているか少しはわかってきただろ。そんなスパイやテロリストみたいな連中と戦うんだからね。この国は一見とても平和に見えるけれど世界中からサイバー攻撃を受けているんだ。僕たちのお金や知的財産、個人情報、そういうものがスパイなんかにどんどん奪われているようなものなんだからね」
スパイにテロリスト!! なんてわくわくするキーワードだろう!!!
それに、悪い人たちがニャーちゃんを狂暴にさせたようなサイバー攻撃をしているなら、おしゃれハッカーが退治しないといけないわよね!
「うん……これは楽しみ! 世界をまたにかけたナゾを解くなんてわくわくするじゃない!」
「ものすごくポジティブなんだね。怖くはないのかい?」
怖いか……なんだかよくわからない。でも今は怖いより楽しいって気持ちが強いかな。
「ところで、こんな夜中に出かけている不良娘の名前が知りたいな」
「まさか、逮捕するつもり!? あ、あなたが来いっていったんじゃない!」
「あははっ、違うよ。きみの名前を知らないと不便だろ。それとも内緒なのかい?」
なんだかからかわれている気がするな。
「四色愛花よ。四つの色に愛の花って書くの」
「四色愛花ちゃんか、可愛らしい名前だね。僕の名前は千里優海(せんりうみ)」
「優海(うみ)さんって呼んだらいいのかしら?」
「呼びやすいように呼んでくれればいいよ」
パトカーのサイレンが遠くから波のように聞こえてくると、にこにことして親しみやすい笑みを浮かべていた中学生らしい優海さんの表情が一変する。急に凛として大人びた表情になった。
「予定より早く動いたようだな」
小学生のわたしにも事件が起こったんだって、ピリピリとした雰囲気で伝わってきた。きっと銀行強盗だよね。わたしに捕まえられるのかしら……。
「ちょっと! その指輪を取り返してくれ!」
羽のついた小さな飛行ロボットは、わたしと優海さんの間を素早く通り過ぎていく。すぐにあっという間に見えなくなって夜の繁華街へと消えた。スーツ姿の男性は息もたえだえに追いかけていたんだけれど、スーツのズボンが汚れることも気にせずに、力なくがっくりとその場にひざをついたわ。なんだかかわいそう。
「警察です。どうしたのですか?」
へぇ、優海さんってちゃんとお仕事してるんだ。でも子供がこんな時間に働いているのってどうなんだろう。そもそも、警察から頼られるほどのコンピューターの知識を持った中学生なんて映画の中でくらいしかみたことがないわよね。優海さんって、もしかしてすごい人なのかも。


