マッチングアプリのお相手は、嘘つきな陸上自衛官でした


「どんな方がいいんですか?」
「え?」
「恋人に求める条件は」

 ゆっくりと優里から手を放し、彼の問いを一瞬考える。

「……嘘をつかない人」

 ぽっと出た本音はなんだか闇深い女のようだ。

「あ、いや、そのくらい誠実だといいなあなんて」

 慌てて誤魔化したつもりだけど、少し無理があったか。

 空のグラスを片付けようとした彼の手が止まって、じっと見られてしまった。

 「そういえば、私の友人も最近始めていましたね」

 でも、すぐに営業スマイルを見せた彼が思い出したように言う。

「たしか同じアプリだったような」

「え、どんな方なんですか?」

 私が「へえ」と小さくした返事をかき消すかのように、隣から優里が興味津々に乗っかってきた。

「この店にもよく来るんですけど、男社会だから出会いがないって。あ、自衛官なんですけど」

 自衛官——。

 一瞬、ぴくっと顔が引きつる。


 「職業柄なのか困っている人を放っておけなくて、ここでも女性を助けたことがあるんです」

 不意に目があったら、意味深ににっこりと笑顔を向けられる。