「最近それ、使っている人多いですよね」
そんな声とともに、萌色のカクテルが置かれた。
顔を上げると、カウンターの向こうからバーテンダーが私のスマホに真っすぐ視線を向けている。
以前にもこの店で何度か話したことがある、名前も知らない男性。
開いたままのマッチングアプリの画面を見られ、たまらず恥ずかしくなった。
「えっと、これは、その……」
「意外でした。お姉さん、綺麗でモテそうだし、アプリとか必要なさそうだから」
慌ててスマホを裏返し、戸惑う私に、彼はにこりと微笑む。
そんなこと、面と向かって言われたのは久しぶりだった。
スマートにそんなセリフを言えるなんて、彼の方こそモテるのだろう。
お世辞でも悪い気はしなくて、少しだけ口元が緩んだ。
「この子今、急いで彼氏探さないといけないんですよ」
横から体を寄せてきた優里が酔った勢いで赤裸々に説明しようとし始める。
「えっと、ちょっといろいろありまして……」
慌てて彼女を押し戻して笑うと、バーテンダーの男性もくすりと笑う。

