「じゃあ、いっそのことマッチングアプリでもやってみたら?」
すると、なんの前触れもなく優里がスマホの画面を見せてきた。
よくCMで見かける某有名アプリのアイコン。
給湯室で会社の同僚たちがよく話しているのを耳にする。
「最近はアプリで付き合う人も多いんでしょ? この前、私の後輩もそれで結婚したし」
そう勧められるものの、私はどうも信用に欠けるように思えて、あまり気乗りしなかった。
「……でも、なんか怖くない? プロフィールなんて嘘かもしれないし。実は既婚者でトラブルに巻き込まれたりとか」
「そんなのリアルの出会いでもあり得る話でしょ」
どこまでも冷静な優里の言葉にはぐうの音も出ない。
「だって、今更〝彼氏なんていない、うそでした〟とはいかないんでしょ。それなら手っ取り早く見繕うしかないじゃない」
妙に論理的で、でも間違ってはいないその言葉に、不思議と納得する。
それが最後のひと押しと言わんばかりに、私はスマホを手に取った。
そのままアプリを検索し、親指がゆっくりとダウンロードボタンに触れる。

