その夜、私はバーカウンターに突っ伏していた。
ゆったりと流れるジャズのBGMに、深いため息が重なる。
「……あなた、公務員の彼氏なんていましたっけ」
そんな中、辛辣な声が右から飛んでくる。
ちらりと視線を向ければ、優里が頬杖をついてこちらを見下ろしていた。
目鼻立ちがはっきりとしていて、漆黒の艶やかな長いストレートヘアがよく似合う。
昔からなにをしても美人な高校からの親友。
なんでも相談できる存在だけど、今の弱った心には、彼女の言葉がいつも以上によく刺さる。
「涼香のそういうところ、昔から変わんないよね。行きたくもない元カレの結婚式行って、新しい問題抱えて帰ってくるなんて」
「言われなくても自分が一番よくわかってる」
自虐混じりに返したら、優里はふっと笑ってカクテルをひと口飲んだ。
自分でついた嘘の顛末を語り、恥ずかしさと後悔に頭を抱えていた。

