「いつも、こういうメニューを考えてるんですか?」
「いえ、うちはファミリー向けのレストランで、和食がメインなので。こんなおしゃれなものでは」
「和食ですか。すごいな、素敵ですね」
自嘲気味に笑う私に対し、片山さんはメニュー表をまじまじと見ながら優しく笑う。
そんな彼の横顔が、先ほどよりも少し穏やかに見えた。
「料理は、もともとお好きなんですか」
すると、不意に尋ねられて言葉に詰まる。
「好き、というか」
グラスを指先でなぞるようにしながら、ぽつりと口を開いた。
「必然的に、家事をしてたら得意になっていただけです」
ふと、昔のことを思い出す。
まだ小学生だった頃の私がいた。
「失礼ですが、ご両親は」
「母が早くに亡くなって、父は自衛官だったのでほとんど家には帰ってきませんでした」
その言葉に、片山さんの手が一瞬止まったように見えた。
親が自衛官だなんて、少し身構えさせてしまっただろうか。
「自衛官って、訓練やら演習やらでほとんど携帯を見れないらしいんですよ。大事な時に連絡が取れないなんて、本当迷惑ですよね」
「……」
「母が倒れたときだって何度も電話したのに」
笑い話にでもするつもりが、ついあの時の感情を思い出して言葉に熱がこもる。
自分でも少し棘があったように感じた。

