予約したイタリアンレストランまでの道中、私は半歩うしろを歩きながら、ちらちらと彼に目をやった。
明らかにモテてきたであろう外見。
そのうえ公務員という職に就いていながら、マッチングアプリに登録している。
私は、騙されているのかもしれない。
そう思えてならなかった。
「このホテルの最上階です」
少し駅から歩いて到着した先は、某有名グループホテル。ロビーフロアを通り抜け、エレベーターの前でラブラブのカップルとすれ違う。
もしかしたら、なんて、食後の展開を想像ながら警戒心ばかりが高くなっていった。
「予約した片山です」
そのとき、初めて彼の名を知った。
突然、目の前にいる人物が形を表したみたいだった。
通されたのは、東京タワーを目の前にした窓側の席。
ガラスの向こうには、都内の街灯りが星空のように広がっている。
思わず「わあ」と声が漏れた。
「友人から、ここの夜景がとてもきれいだと聞いて」
洗練された景色に目を奪われていると、彼が椅子を引いてにこりと微笑んでいた。
エスコートなんてされたのは、生まれて初めてだ。
慌てて座りながら、戸惑いを隠せない。

