その日の仕事帰り。
ベッドに転がりながら、久しぶりにマッチングアプリを開いた。
「うわあ、苦手……」
スーツ姿の自撮り。
筋肉をアピールするジムの鏡越しショット。
加工しすぎてAIみたいになっているモデル顔。
私に〝いいね〟と押してきた男性たちを見て、表情
が歪む。
どれもこれも彼氏の代役を任せられそうにはなく、理想からもほど遠い。
プロフィールすら読む気にならず、次々と指でページを送り続ける。
「やっぱり、アプリだとこういう人ばっかりなのかな」
そう呟いた矢先、一件の通知に気づく。
【お写真、とても素敵です】
たった一行、そんなメッセージ付きの〝いいね〟が届いていた。
名前は【K】。
小型犬を愛でながら微笑む、縁なし眼鏡の素朴で誠実そうな男性。
プロフィールは淡白で、ひときわ地味だった。
【真剣にお付き合いできる女性を探しています】
真面目って、こういう人を言うんだろうな。
添えられていた自己紹介文を見て、純粋にそう感じられた。
【地方公務員/三十五歳/趣味はランニングと読書】
派手さはない。でもなぜだか目が離せない。
他があまりに騒がしすぎて、このくらい静かな人がちょうどよく思えた。
それに、どこかで見たことがあるような、そんな親しみすらある顔。
アイコンの写真に些細な引っ掛かりを感じ、興味が湧いた。

