上書きされたファーストキス〜変わらない距離の、その先で〜

「僕は構わないけど……えつさんに明日、言われるよ? 式はいつですかって」

「なに、それ」

「あの年代の人は、そういうの、うるさいから」

目を見交わして、同時に噴きだす。

笑いながら、じゃれながら、だけど葵は後ろ手で、しっかりと内鍵をかけていた。

葵のすることに、抜かりはない。

今日の夜は、長くなりそうだ──。





      《おわり》