上書きされたファーストキス〜変わらない距離の、その先で〜


ワケないでしょ! と、続くはずだった私の声は、またしても葵の唇に奪われた。

くそう。
こいつキス魔だったんかい、と。
半ばあきらめの境地で、葵のくちづけを受け入れる。

やわらかな唇が優しく触れて、時折、情熱的に求められるそれは、なんだか私を、おかしな気持ちにさせた。

心地いいと感じる自分がいて、そうさせる葵に驚いて……つまり、これはなんていうか──。

「……言ってくれなきゃ、分かんないわよ、ばか」

唇が離れたと同時に、吐息まじりに小さく愚痴る。この前のキスの時とは、違う涙がでそうになった。

葵の親指が、誘うように私の目もとをなぞる。

「意思表示は、散々してきたつもりだけどな」

苦笑いを浮かべる葵を見ながら思わず訊(き)いてしまった。

「私でいいの? 葵がいう、『魂の結びつき』の相手」

さぁね、と、葵は肩をすくめる。

「それは分からないよ。……確かめるのは、これからだしね」

「なによ、それ」

「夜は長いって、こと」

いたずらに笑って、葵が自分の額を私の額に押しつけてくる。私も、つられて笑った。

葵でも照れることがあるんだ。

そう思ったら、ますますおかしくなってしまう。

笑いながら葵の頬に唇を寄せ、葵を抱きしめた。

「……今日、泊まっていっても、いい?」