上書きされたファーストキス〜変わらない距離の、その先で〜

「ごめん、葵……」

気づいたら、腕が伸びていた。

葵の女の子みたいな華奢(きゃしゃ)な身体を、後ろから抱きしめる。

やわらかな猫の毛のような癖髪に頬を寄せ、震えるように告げた。

「もう、怒ってないから」

葵は私の言葉に小さく笑った。

「家、寄っていきなよ。楓の好きなクッキー、あるからさ」

「……うん」