それから約一ヶ月、私は葵を避け続けた。
怪我の治療もあったし、リハビリも必要だったから、以前と生活リズムが違っていたのもあって、葵と遭遇することもなかったのが幸いした。
別々の高校で良かったなんて思ったのも、初めてかもしれない。
あんなキスをされて、それでもまだ葵を好きでいる自分が情けなかった。
けれど、肩の調子も大分良くなり、日常生活にも支障がなくなった頃、ついに、避けられない瞬間がやってきた。
下校時刻が重なり、駅付近のバスロータリーで、葵と廃倉庫にいた男の一人が一緒にいるのを、見かけてしまったのだ。
遠目では、何を話しているのかなんて分からなかった。
だけど、また葵が絡まれているのは間違いなくて、考えるより先に身体が動いていた。
駆け寄って、葵との間に割って入り、にらみつけてやる。
「ちょっと! なにしてるのよっ。葵には二度と手を出さないって約束でしょ!?」
「な、なんもしてねぇし。もうお前らとは関わりたくねぇんだから、勘弁してくれよ……」
そいつは私の顔と葵を見比べ、最後に少し怯えたように葵を見てから逃げるように去って行った。
葵はその後ろ姿を見て、面白そうに笑っていた。……ナニその顔。
そう言えば、あの時なにか意味ありげに言ってたっけ。最悪のファーストキスに全部、持ってかれたけど。



