上書きされたファーストキス〜変わらない距離の、その先で〜

ようやく自分がどんな人間を相手にしているか、気づいたらしい。

ふん、と、鼻であしらってやった。

「遊び? 遊びだから、なんだっていうの?」

目の前に突き付けられた角材の先端を、私は迷わず真上から踏み抜くように蹴り落とす。
衝撃に、角材は相手の手から弾け飛び、コンクリートの床に虚しく転がった。

ひぃっ……と、相手がひるむのが分かった。
そのまま距離をつめ、そいつの顔の前に手の甲を突きだし、寸前で止める。

「遊びでも──」

私の拳にびびって目をつぶった男のあごを、ぐいとつかむ。

「葵の本気、燃やしたんだからねっ。
あんたも……っ……、あんたの本気を見せろって、言ってんのよっ……!」

勢いにまかせ、あごを突き飛ばすように放す。
よろめいて尻もちをついた男から視線を外し、葵を捕えた男に目を向ける。

「あんたもっ! それなりの覚悟は、できてるんでしょうねぇっ……!?」

「──っだよ、やってらんねーよ、こんなん……」

「やべぇよ、この女……」

「オレ、関係ねぇからなっ」

先程までの私の姿を見て、ただでは済まないと感じたらしく、口々に捨て台詞を吐きながら、他の三人が後ずさりながら倉庫を出て行く。

「ま、待てよっ……」

残された一人が、おぼつかない足取りで立ち上がった。