『姐さん、大変です! 葵さんが……』
父さんとの稽古を終え、シャワーを浴びる前にスマホをチェックすると、そんな文言の通知が目に入る。
差出人は、葵と同じ写真部のコからだった。
葵の高校の文化祭に行った時、葵に紹介された少し変わった後輩で、でも葵の写真の腕にかなり心酔してるコでもあった。
『現像前のフィルムが盗まれちゃって、それで──』
指定された場所に、迷うことなく向かったという葵。
私も、そのコからのメッセージに一も二もなく、家を飛び出した。
11月も末になろうという夜の空気は凍えそうに冷えていたけど、そんなの関係なかった。
ただ夢中で走って、街外れにある廃倉庫へ──葵の元へと駆けて行く。
錆びたトタンの扉を蹴り飛ばして私が見たものは、カメラから引き抜かれたフィルムが、ドラム缶から上がる炎に放たれようとしている光景だった。
「や、めろっ……!」
上背のある男に羽交い締めされている葵と、リーダー格っぽい男がその反応を楽しむようにフィルムを弄ぶ。
パチパチと爆ぜる火の粉が、暗い倉庫内で鮮やかに爆ぜていた。
「やめろぉっっ……!!」
葵の絶叫をあざわらうかのように、フィルムが乱暴に投げ捨てられた──。



