目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です

半年前。

鷹司が主導したフランス企業との緊急商談での出来事だ。

通訳を介した議論が難航し、専門用語の細かなニュアンスの違いで空気が悪くなりかけた際、真由がすっと完璧な要約と正確な訳語を添えた英語の補足メモを挟んだ。

​実は真由は、鷹司がフランス企業との交渉を控えていると知ってから、連日深夜まで業界専門のフランス語・英語の対訳集を独自に作成し、暗記していたのだった。

​鷹司が後日その理由を尋ねると、「副社長がどれだけこのプロジェクトに情熱を注いでいるか知っていましたから。私のサポートで一歩でも前に進むなら」と、自分の努力を誇ることもなく淡々と微笑んだ。

鷹司の胸はその献身的な姿勢とプロ意識に、強く揺さぶられた。

ある時、経営陣向けの「半期売上データと顧客動向の分析レポート」を担当したときのことだ。

一見すると、社内システムから抽出した綺麗なデータをグラフ化して提出しただけのように見えた。