目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です

総務部全体への差し入れという名目なら、業務上何の問題もない。

​「お心遣い、ありがとうございます。課長はじめ、皆でいただきます」

​真由が微笑んで受け取ろうとしたその時、鷹司がポツリと、どこか不器用なトーンで付け加えた。

​「それから……その中に、1つだけ箱を分けておいた」

​「え?」

​「……朝晩は特に冷える。温かい茶でも飲むといい」 


​真由が紙袋の中を覗くと、部署全員分の大箱の脇に、小ぶりで可愛らしいリボンが結ばれた小さな缶——ハーブティーのティーバッグが入った個装の缶が、ひとつだけそっと添えられていた。

​真由が驚いて鷹司を見ると、鷹司は既にPCの画面に視線を戻し、淡々とキーボードを叩き始めている。

その顔は相変わらず完璧な副社長のそれだったが、真由は 心なしか書類をめくる手が少しだけぎこちないように感じた。