目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です

数日後の夕方。

​真由は総務部内の掲示板前で、各部署から集まった月次報告書の束を整理していた。

​「市川さん、これ副社長室に提出する分の書類なんだけど……ちょっと急ぎで頼める?」

​先輩社員からそう声をかけられ、「承知しました」と書類を受け取る。

鷹司の直属の部下ではない真由にとって、副社長室を訪れるのはこうした部署間の業務連絡や書類の提出時くらいだ。

あの日以来、社内で顔を合わせても、互いに完璧な「副社長」と「総務部員」として接していた。

​廊下を進み、副社長室の扉を軽く敲く。

​「失礼いたします。総務部の市川です。今月の月次報告書をお持ちしました」

「入れ」

​鷹司の低い声に促されて中に入ると、鷹司はデスクでパソコンの画面に向かっていた。

真由は粛々とデスクへ近づき、所定の位置に書類を置いた。

​「ご苦労」