目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です

翌日。

昨夜の激しい雨が嘘のように、澄み切った朝だった。

​真由はいつもより少し早く出社した。

丁寧に陰干しして綺麗に畳んだ鷹司の傘を抱えるようにして副社長室へと向かった。

​ドアを軽く叩き、応答を待って中へ入る。

鷹司はデスクに腰掛け、既に打合せ資料に目を通していた。

が、切れ長の目を静かに真由へと向けた。

​「おはようございます、副社長。昨夜は本当にありがとうございました。傘をお返しに上がりました」

​鷹司は真由が丁寧に傘を差し出すと、手にしたペンを置き、傘を受け取った。


布地に触れるか触れないかの手つきで状態を確認すると、ふっと口元を緩める。

​「丁寧に扱ってくれたようだな。ありがとう」

​「いいえ、こちらこそ……」

​真由が安堵し、ペコリと頭を下げて退出試みようとした瞬間、後ろから低い声がした。

​「市川」