目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です

「そんな……嫌だなんて。ただ、副社長のお手を煩わせるわけにはいかないと……」

​「手なら、いくらでも煩わせればいい」

​真由は鷹司が遮るように言う低く落ち着いた声に、思わず「あっ」と声を漏らした。

鷹司はアクセルを緩め、真由のマンションの敷地手前の路肩に静かに車を寄せた。

ハザードランプの規則的な点滅とカチカチと鳴る電子音が、2人の間の沈黙を刻む。

​エンジンはかかったままだ。

車内には心地よい温もりが満ちていた。

鷹司はシートに背を預けたまま、今度はしっかりと真由の方へ顔を向けた。

暗がりの中で、その瞳だけが静かに真由を捉えている。

​「……君が余計な気遣いをして潰れるくらいなら、私の都合で振り回す方がずっといい」

鷹司はそう言って、ほんのわずかに口角を上げた。

上司としての完璧な理屈で絡められたその言葉は、真由を追い詰めないための彼なりの気遣いだった。

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