目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です

それを自分がやっていると公言するでなく、自慢もしない。 

鷹司は淡々と笑顔で行う姿に、本当の意味での「飾り気のない誠実さ」が現れているなと思った。

さらに​或る日のこと。

他部署の新人がデータの提出手順を間違え、真由が作成した集計用ファイルの1部を誤って上書き消去してしまうトラブルがあった。

社内チャットでは「誰のミスだ?」とピリピリした空気が漂った。

​だが真由は、チャットで犯人探しが始まるより早く、静かにバックアップデータを取り出し数分で修復を完了させた。

そして、焦ってパニックになっていた新人の席へ自ら足を運び、周囲に聞こえないような低いトーンでこう声をかけた。

「大丈夫。データはもう元通りにしておいたから。システムがちょっと分かりづらい構造になってるのが原因だから、気にしないでね」

​新人が泣きそうになりながら謝ると、真由はフッと笑って言った。