エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。

鳳城くんが帰った翌日から、私は少し落ち着かなかった。

昨日、生徒会室に現れたスーツ姿の男性。
「ご当主様がお待ちです」と言っていた声が、何度も頭の中によみがえる。

ご当主様。
きっと、鳳城くんのお父さんだ。

どんな人なんだろう。
鳳城くんに似ているのかな。
それとも、もっと厳しくて近寄りがたい人なのかな。

考えれば考えるほど、胸がざわついた。

「ほのか」

朝の教室で、鳳城くんが私の机に手をついた。

「おはよう」

「おはよう……」

「顔色悪い」

「そうかな?」

「そう」

鳳城くんは、私の顔をじっと見つめる。
その視線に耐えられなくなって、私は慌ててノートを開いた。

「昨日のこと、気にしてる?」

「……少しだけ」

正直に答えると、鳳城くんは小さく息をついた。

「親父のことなら、気にしなくていい」

「でも……」

「おまえに何か言うつもりはない」

その言葉に、私は顔を上げた。

「本当に?」

「たぶん」

「たぶんって……」

「親父の機嫌次第」

あまりにさらっと言うから、余計に不安になる。

鳳城くんはそんな私を見て、少しだけ表情をやわらげた。

「俺がいる」

そのひと言が、胸の奥に落ちる。

「だから、勝手に怖がるな」

「……うん」

そう答えた直後だった。

教室の扉が開き、昨日のスーツ姿の男性が入ってきた。

「鳳城様」

教室中の視線が一斉に集まる。

男性は鳳城くんの前まで歩いてくると、恭しく一礼した。