好きになった理由なんて、今となっては思い出せない。 たぶん、ほんの些細なことだった 消しゴムを貸してくれたとか 廊下ですれ違ったときに笑ってくれたとか 雨の日に、傘を忘れた僕に「入る?」と言ってくれたとか そういう小さなことが、いつの間にか積み重なっていた 気づいたときには、僕はもう――白石美緒のことが好きだった。