翌日の放課後。
美桜は約束どおり、校舎裏の階段前で悠真を待っていた。
昼間は生徒の声でにぎやかな学校も、放課後の裏庭まで来ると急に静かになる。
風が木の葉を揺らす音だけが、かすかに響いていた。
「待たせた」
振り向くと、悠真がいつもの無表情のまま立っていた。
その手には昨日のノートがある。
「ううん。わたしも今来たところ」
「なら行くぞ」
短いやり取りのあと、ふたりは並んで階段へ向かった。
三年前、悠真の兄が落ちた場所。
校舎裏にあるその古い外階段は、今はほとんど使われていないらしく、手すりにも壁にも時間の流れがにじんでいた。
「ここ……思ったより古いね」
「補修はされてる。でも全部じゃない」
悠真は階段の手すりに軽く触れながら、目を細めた。
「兄が落ちたのはこのあたりだ」
美桜は思わず息をひそめる。
ただの階段なのに、そこに残っている見えない気配が怖かった。
「何を探せばいいかな」
「当時のまま残ってるもの。小さな違和感でもいい」
そう言って悠真は足元や壁際を静かに見ていく。
美桜も階段の下へ目を向けた。
そのときだった。
「あれ……?」
階段のいちばん下、落ち葉の端に何かが半分埋もれている。
紙のようにも見えた。
「久世城くん、あそこ」
悠真がすぐにしゃがみこみ、慎重にそれを拾い上げる。
汚れた透明の袋に入っていたのは、一枚の古い写真だった。
「写真……?」
袋の端は黄ばんでいて、長いあいだそこにあったことが分かる。
写真の表面にも少し傷が入っていたけれど、写っている人の顔はぎりぎり見えた。
制服姿の男子生徒が三人。
そのうちのひとりは、悠真と目元が少し似ている。
美桜は約束どおり、校舎裏の階段前で悠真を待っていた。
昼間は生徒の声でにぎやかな学校も、放課後の裏庭まで来ると急に静かになる。
風が木の葉を揺らす音だけが、かすかに響いていた。
「待たせた」
振り向くと、悠真がいつもの無表情のまま立っていた。
その手には昨日のノートがある。
「ううん。わたしも今来たところ」
「なら行くぞ」
短いやり取りのあと、ふたりは並んで階段へ向かった。
三年前、悠真の兄が落ちた場所。
校舎裏にあるその古い外階段は、今はほとんど使われていないらしく、手すりにも壁にも時間の流れがにじんでいた。
「ここ……思ったより古いね」
「補修はされてる。でも全部じゃない」
悠真は階段の手すりに軽く触れながら、目を細めた。
「兄が落ちたのはこのあたりだ」
美桜は思わず息をひそめる。
ただの階段なのに、そこに残っている見えない気配が怖かった。
「何を探せばいいかな」
「当時のまま残ってるもの。小さな違和感でもいい」
そう言って悠真は足元や壁際を静かに見ていく。
美桜も階段の下へ目を向けた。
そのときだった。
「あれ……?」
階段のいちばん下、落ち葉の端に何かが半分埋もれている。
紙のようにも見えた。
「久世城くん、あそこ」
悠真がすぐにしゃがみこみ、慎重にそれを拾い上げる。
汚れた透明の袋に入っていたのは、一枚の古い写真だった。
「写真……?」
袋の端は黄ばんでいて、長いあいだそこにあったことが分かる。
写真の表面にも少し傷が入っていたけれど、写っている人の顔はぎりぎり見えた。
制服姿の男子生徒が三人。
そのうちのひとりは、悠真と目元が少し似ている。



