氷の君に、恋の歌を。

「悪い、そのあと予定あるから」

低い声が割って入る。
次の瞬間、乃愛の肩がそっと引き寄せられた。

「蓮斗くん……!」

振り返ると、蓮斗が当然みたいな顔で乃愛の隣に立っている。
そのまま肩を抱くほどではない、でも十分に特別だとわかる距離で。

上級生は一瞬驚いた顔をしたあと、苦笑する。

「ああ、そういう感じか」

「そういう感じです」

蓮斗が淡々と返す。
まるで少しの迷いもない。

「じゃあ、邪魔したな」

上級生が去っていくと、乃愛は真っ赤になりながら蓮斗を見上げた。

「予定って……?」

「今から俺と教室行くだろ」

「それ予定って言うの?」

「言う」

真顔の即答に、乃愛は思わず笑ってしまう。