氷の君に、恋の歌を。

ステージを降りた瞬間、蓮斗がまっすぐ乃愛のところへ来た。

「すごかった」

低い声。
でも、いつもよりずっと熱がこもっている。

「ほんとに……?」

「ああ」

蓮斗は少しかがんで、乃愛にしか聞こえない声で続けた。

「みんな見てたのが少し悔しいくらい、きれいだった」

その言葉に、乃愛の頬が一気に熱くなる。

「また嫉妬してるの?」

「してる」

即答に、思わず笑ってしまう。

「でも、今日は我慢する」

「どうして?」

「乃愛ががんばって、ちゃんと才能を見せた日だから」

そのひと言が、何よりうれしかった。
乃愛は胸いっぱいのまま、小さく彼の袖をつかむ。

「ねえ、蓮斗くん」

「ん?」

「次に歌うときも、隣にいてね」

蓮斗は少しだけ目をやわらげて、静かにうなずいた。