氷の君に、恋の歌を。

次の日の放課後。
教室を出た瞬間、窓の外から強い雨音が聞こえてきた。

「わ、すごい……」

昇降口まで来た乃愛は、思わず足を止める。
空はどんより暗くて、校庭はもう白くけぶっていた。

「傘、持ってきてない……」

小さくつぶやくと、隣で蓮斗が静かに傘を開いた。

「入れ」

黒い傘が、当然みたいに乃愛の頭上へ傾く。

「でも蓮斗くん、濡れちゃうよ」

「乃愛を濡らすほうが嫌だ」

そう言われたら、もう何も言えない。
乃愛は真っ赤になりながら、そっと蓮斗の隣へ入った。