氷の君に、恋の歌を。

また歩き出すと、蓮斗が小さく息をつく。

「放課後の教室も好きだけど」

「うん?」

「こういう帰り道もいいな」

「どうして?」

「乃愛が俺の隣にいるって、ちゃんと実感できるから」

そんなふうに言われたら、もうだめだった。
乃愛は照れながらも、そっと蓮斗の腕に少しだけ寄る。

すると蓮斗が目を細める。

「かわいい」

「もう言わないで……」

「無理」

即答されて、乃愛は小さく笑った。

夕暮れの道を並んで歩く時間さえ、今は特別に思える。
きっとこれから先も、こうしてひとつずつ思い出が増えていく。