氷の君に、恋の歌を。

校門を出ると、空はすっかり茜色に染まっていた。
昼間のにぎやかさが少しずつ遠ざかって、帰り道にはやわらかな静けさが流れている。

乃愛は蓮斗と手をつないだまま、隣を歩いていた。
さっき教室でキスしたばかりなのに、そのぬくもりがまだ指先にも胸にも残っている。

「……静かだね」

照れ隠しみたいに言うと、蓮斗が少しだけ横を見る。

「乃愛が赤いままだから」

「まだ言うの……?」

「本当のことだ」

さらっと返されて、乃愛はまた頬が熱くなる。
こういうところがずるい。
冷静な顔で、平気で心臓に悪いことを言う。