氷の君に、恋の歌を。

蓮斗はそっと乃愛の額に自分の額を寄せた。

「今日はこれで我慢する」

「我慢って……」

「これ以上したら、帰したくなくなる」

その言葉に、乃愛は真っ赤になる。
もう、恥ずかしくてどうにかなりそうだ。

でも同時に、こんなふうに大切に想われていることが幸せでたまらない。

「……じゃあ、ちゃんと帰る」

「ちゃんと送る」

「ふふ、それ命令みたい」

「恋人だからな」

さらっと返されて、乃愛はまた小さく笑った。

教室を出るとき、蓮斗は自然に乃愛の手を取る。
そのぬくもりがやさしくて、乃愛はそっと握り返した。

昨日のキスも、今日のキスも、全部がまだ夢みたいだ。
けれど確かに、この胸の高鳴りが本物だと教えてくれる。

放課後の教室。
そこはもう、ふたりの恋が甘く育っていく特別な場所になっていた。