氷の君に、恋の歌を。

「朝、俺も慣れてないって言ったけど」

蓮斗の指が、そっと乃愛の頬に触れる。

「たぶん、慣れる気もない」

「え……」

「毎回こんなふうにどきどきしたい」

そのひと言に、乃愛の息が止まりそうになる。

そんなの、うれしすぎる。
甘すぎて、もう何も考えられない。

「乃愛」

名前を呼ばれるたび、心がほどけていく。

「もう一回していいか」

聞き方はやさしい。
でも、答えを待つ彼の目は真剣で、少しだけ余裕がなさそうだった。

乃愛は恥ずかしさでいっぱいになりながらも、小さくうなずく。

「……うん」

次の瞬間、蓮斗がそっと身をかがめる。
乃愛も思わず目を閉じた。

触れるだけのやさしいキス。
昨日より少し長くて、でも大事にされているのが伝わる甘い口づけ。

離れたあとも、蓮斗の手は頬に触れたままだった。
乃愛は息を整えることもできず、ただ彼を見上げる。

「かわいすぎる」

かすれた声で言われて、また頬が熱くなる。

「蓮斗くんだって……」

「俺が何」

「ずるい……」

精いっぱいそれだけ返すと、蓮斗は少しだけ笑った。

「乃愛も十分ずるい」

「なんで?」

「そんな顔されたら、ほんとに止まれなくなる」

低く甘いその声に、乃愛の心臓がまた大きく跳ねる。