氷の君に、恋の歌を。

夕日の差しこむ教室で、蓮斗は机に軽くもたれながら乃愛を見た。

「朝の続き」

「え……?」

「昨日のこと思い出してたって言っただろ」

乃愛は一気に顔が熱くなる。

「そ、それは……」

「俺もずっと同じこと考えてた」

静かな声。
でも、その瞳は昨日よりずっと熱を帯びて見えた。

「授業中も?」

乃愛が思わず聞くと、蓮斗は少しだけ目を細める。

「かなり」

そんなふうに正直に返されてしまって、乃愛はもうまともに彼を見られない。

「蓮斗くん、今日ほんとに変……」

「乃愛のせいだ」

またそれ。
でも今は、その言葉の意味が前よりずっと甘く感じる。

蓮斗が一歩近づく。
乃愛は自然と一歩下がる。
けれどすぐ後ろには机があって、もう逃げる場所がない。

「逃げるな」

「逃げてないもん……」

「じゃあ、こっち見ろ」

やさしいのに逆らえない声で言われて、乃愛はおそるおそる顔を上げた。

すぐ近くにある蓮斗の顔。
まっすぐ見つめてくる瞳。
その距離だけで、胸が壊れそうなくらい高鳴る。