【番外編】初恋が君に届くまで

「えーっと、どれにしようかな。今回はね、うーん……」
「つむぎ。またいつでも来ればいいんだから、そんなに迷うな」
「そう? じゃあ、ストロベリーチーズケーキと、んー、ティラミスと……、あっ、その2つで」

丈はクスッと笑って「あと2つ頼みな」と声をかけた。

「いいの? じゃあホワイトチョコチップエスプレッソと、フランボワーズ!」
「はいはい、つむぎちゃん」

丈はつむぎの頭にポンポンと手をやってからオーダーした。

早速噴水の見えるベンチに並んで座って味合う。

「美味しいね」

ポニーテールを揺らして丈に微笑みかけながらジェラートを食べるつむぎが、可愛くて仕方ない。

「つむぎ、俺のも半分食べな。はい、アーンして」
「わっ、このまま?」

丈はスプーンではなく、わざとジェラートをそのままつむぎの口に運んだ。

(つくかな、つくかな?)

ドキドキワクワクとつむぎを見守る。

パクリと頬張ったつむぎの鼻の頭にちょこんとジェラートがついて、丈は悶絶した。

(かっわいい! 鼻のてっぺんだよ、おい)

思わず写真を撮りたくなるが、我慢我慢。

だがどうやらニヤけてしまっていたようで、つむぎが「ん?」と丈の顔を見上げる。

そしてハッとしたように頬を指先で拭った。

「やだ、またついてる?」
「つむぎ、ほっぺじゃなくてここ」

丈はつむぎの鼻をちょんと指でつついてクリームを拭うと、チュッと口に運ぶ。

つむぎは顔を真っ赤にしてから、むーっと頬を膨らませた。

「綾瀬くんも食べてね、半分こしよ。はい、どうぞ」

そう言ってグイッとジェラートを丈の口元に近づけた。

(ふふっ、さてはやり返す気だな?)

丈は大きな口でパクッとジェラートを頬張ると、そのままチュッとつむぎの指にキスをする。

「ひゃあ!」

驚いたつむぎの手からジェラートが落ちそうになり、丈は咄嗟につむぎの手を握りしめた。

「ほら、つむぎちゃん。しっかり握ってな。落っことして泣いちゃうぞ?」
「もう! どうして子ども扱いするの? 私達、同い年だよ」
「知ってる。初恋の相手だからな」

サラッとそう言って微笑みかけると、つむぎはますます頬を赤らめて口を閉ざす。

ふいと視線をそらし、プンプンしながらジェラートを食べるつむぎもまた、可愛くてたまらなかった。