いちご色の恋予報♡

昼休み。
いちかが屋上へ呼び出されると、そこにはフェンスにもたれて立つ莉久がいた。

風が吹く。
でも、莉久の周りだけ妙に熱を持っているみたいだった。

「莉久……?」

近づくと、莉久はまっすぐいちかを見つめる。

「朝、楽しそうだった」

「え?」

「幼なじみ」

その言い方で、いちかはやっと気づいた。
胸の奥がくすぐったくなる。

「……もしかして、嫉妬してる?」

すると莉久は少しだけ眉を寄せた。

「してるけど」

あまりにもまっすぐで、いちかは目を瞬かせる。

「隣であんな顔して笑うの、俺の前だけでいい」

「っ……」

「昔から知ってるとか言われても関係ない。今、白石の隣にいるのは俺だし」

言葉のひとつひとつが、独占欲そのものだった。
でも怖くはない。
それ以上に、胸がきゅうっと甘くなる。

「莉久」

「なに」

「安心して」

いちかはそっと一歩近づく。
そして制服の袖を、ちょこんとつかんだ。

「私が好きなのは、莉久だけだよ」

その瞬間、莉久の表情が止まる。
強がっていた空気が、少しだけほどけた。

「……ずるい」

「え?」

「そんなの言われたら、もっと離せなくなる」

そう言うと、莉久はぐいっといちかの腕を引いた。
気づけば、胸の中に閉じ込められている。

「り、莉久っ」

「無理。今かなり限界」

耳元に落ちてくる低い声に、いちかの心臓が大きく跳ねる。

「朝からずっともやもやしてた。あいつが白石の名前呼ぶのも、笑わせるのも、全部いやだった」

「そんなに……?」

「そんなに」

抱きしめる腕が少しだけ強くなる。
けれど苦しくないように、ちゃんと加減されているところが莉久らしかった。

「白石は俺の」

そこまで言って、莉久はぴたりと止まる。
でも次の瞬間、ためらいを捨てたみたいに続けた。

「……俺の大事な彼女なんだから」

その言葉だけで、いちかの胸はいっぱいになった。

「うれしい」

「どこが」

「嫉妬してくれるくらい、好きでいてくれるの」

すると莉久は少しだけあきれたように笑って、いちかの髪に顔をうずめる。

「好きに決まってる。むしろ足りないくらい」

「足りないの?」

「毎日足りない」

真顔で言われて、いちかはもう顔を上げられない。

「放課後、あいつと話さないで」

「えっ」

「……って言いたいけど、ちゃんと我慢する」

そのあと、少し間をあけてから小さく付け足す。

「でも、終わったら俺のところ来て」

その不器用なお願いが、どうしようもなく愛しくて、いちかは笑った。

「うん。すぐ行く」

答えた瞬間、莉久はようやく満足したみたいに目を細める。
そして、誰も来ないのを確認してから、いちかの額にそっとキスを落とした。

「これで午後も我慢する」

「もう……」

「放課後はもっと補充させて」

いちかの頬が赤く染まる。
でももう、いやだなんて思わない。

幼なじみが現れても揺らがない。
むしろ、莉久の想いがどれだけ深いのかを知ってしまったから。

その日、いちかは少し早足で放課後を待った。
大好きな彼に、いちばんに会いに行くために。