春のはじまり。
桜が舞う坂道を、白石いちかは小走りでのぼっていた。
今日は高校二年の始業式。
寝ぐせを直すのに時間がかかって、朝から少しだけついていない。
「やばっ、遅れる」
そうつぶやいた次の瞬間、角を曲がってきた誰かとぶつかった。
「きゃっ」
落ちそうになったいちかの腕を、とっさに支えたのは、背の高い男の子だった。
「大丈夫?」
低くてやさしい声。
顔を上げた瞬間、いちかの心臓はどくんと跳ねた。
きれいな黒髪。
少し眠たそうな目。
なのに、まっすぐ見つめられると息が止まりそうになる。
「ご、ごめんなさいっ」
「いや。走ると危ないよ」
そう言って彼は、いちかのバッグについた小さないちごのキーホルダーを見て、ふっと笑った。
桜が舞う坂道を、白石いちかは小走りでのぼっていた。
今日は高校二年の始業式。
寝ぐせを直すのに時間がかかって、朝から少しだけついていない。
「やばっ、遅れる」
そうつぶやいた次の瞬間、角を曲がってきた誰かとぶつかった。
「きゃっ」
落ちそうになったいちかの腕を、とっさに支えたのは、背の高い男の子だった。
「大丈夫?」
低くてやさしい声。
顔を上げた瞬間、いちかの心臓はどくんと跳ねた。
きれいな黒髪。
少し眠たそうな目。
なのに、まっすぐ見つめられると息が止まりそうになる。
「ご、ごめんなさいっ」
「いや。走ると危ないよ」
そう言って彼は、いちかのバッグについた小さないちごのキーホルダーを見て、ふっと笑った。



