きみの居ない春を、まだ知らない

玲奈は何も言わずに待った


「父親の会社が倒産した」


「……うん」


「卒業の少し前だった」


湊はゆっくり話した


「家もなくなって、母さんと弟と一緒に引っ越すことになった」


「それを、私には言えなかったの」


「言えば、玲奈は待つと思った」


「待ったよ」


「知ってる」


「じゃあ、どうして」


「玲奈の人生を俺のせいで止めたくなかった」